第30章 年下のオトコノコ♪
「あ、俺こっちのホームなんで」
智くんが立ち止まり指をさす。
「あ、俺と反対方面なんだ」
「そうなんですね、それじゃあまた…」
ペコリとお辞儀をし立ち去る智くんの背中を見送った。
可愛いなぁ智くん…って俺、さっきからずっと智くんのこと可愛いって思ってる。
ちょっとヤバくないか…そっちの趣味はなかったはずなんだけど…
でもまた会いたいなぁ…
あーっ!連絡先教えてない!教えておけばよかった…
電車も違うし、制服も下だけだったからどこの学校かまではわからなかった…もう会うこともないのかな。残念…
そんな思いで電車に乗ると同僚の雅紀がいた。
「おはよ、翔ちゃん」
「あ~おはよ」
少し凹んで暗めの挨拶をした俺に心配そうな表情を見せた。
「朝から元気ないね、なんかあったの?」
「ん~、あった…」
「え、なになに?何があったの?」
「ん…」
雅紀に今あったことを話すと次第に目がキラキラ輝きだした。
「ね、それってラブ?ラブだよね?」
嬉々として俺の腕を掴む…何がそんなに嬉しいんだ。
「ラブって…相手は高校生の男子だぞ?可笑しいだろ…」
「え~、いいじゃんいいじゃん!だって可愛い子だったんでしょ?」
「うん、メチャメチャ可愛い…」
「だったら問題ないと思うけど?」
なんでこいつはこうも楽観的なんだ?
大体20代半ばの俺と高校生の智くんってそれだけで犯罪だろ。