第30章 年下のオトコノコ♪
「あれ?」
ドンッ!
「あ、ごめんっ」
朝の通勤通学ラッシュ、改札口を通ろうとしたら突然前の学生に立ち止まられそのまま激突。
「あ、すみません…Suicaが見つからなくて…」
振り返り俺を見上げたその瞳に釘付け…
「あ、あの…」
何も答えなかった俺に不安になったのか表情がおどおどしてる。
「あぁ、じゃあ一度退いて探そうか?」
「はい…すみませんでした」
彼が改札口から離れ端の方に移動し、その後をついていった。
「え?あの…」
「ん?なに?」
「なんで一緒に?」
彼が不安そうな顔をしたからニコッと笑った。
「探すの手伝おうかと思って」
なんでこんな行動をとったのか…正直自分でも驚いた。
でも、もう少しこの子と一緒に居たいと思ったんだ。
「ありがとうございます…」
ペコッとお辞儀をした彼。
なんか可愛らしいな。
彼はズボンのポケットを触るけどパスケースは出てこなかった。
「あっ!」
「え?」
「そうだ、上着…」
「上着?」
「はい…いつもは上着のポケットに入れておくんですけど、今日は暑くて着てこなかったから家に忘れてきちゃった」
「どうするの?家に戻るの?」
「いえ、時間がないんで切符買います」
彼は鞄を開け財布を取り出した。
「そうか、それじゃ俺行くね」
「はい、ありがとうございました」