第28章 forever
《翔side》
もうすぐ智さんと出逢ってから17年、再会してから丸一年が経とうとしている。
最初に出逢ったときの5日間とこの1年間は俺の人生の中で最も幸せな日々…
この幸せがずっと続きますように、そして智さんも同じ想いでいてくれてますように…そう願わずにはいられない。
何でこんなにもひとりの人を好きになれるんだろう?自分でも不思議な感覚に襲われるときがある。
23年間生きてきて、数えきれないくらいの人と出会ってきたのに恋をしたのは智さんにだけ…しかも同じ人に2度恋をした。
子どもの頃大好きだった『さとくん』が智さんだってわかった時、智さんも同じことを言っていた。
『気付かない内に同じ人に2度恋をした』って。
その相手が自分だってわかった時本当に嬉しくて、初めて奇跡を信じた。
そして今も小さな奇跡。
出先から戻る電車の中に智さんの姿を見つけた。智さんも俺に気が付いてくれて微笑んでくれた。
智さんの横に立つと優しい笑顔と優しい声で
「お疲れ」
って言ってくれた。それだけでキュンとなる俺の胸。
「お疲れさまです」
俺も笑顔でそう言うと智さんは嬉しそうに笑ってくれた。
「こんな所で会えるなんて今日はラッキーだな」
「毎日一緒に居るのに?」
「毎日一緒に居ても。仕事中は外に出たら会えないだろ?たまたま会えるなんてラッキーじゃん」
「ふふっ、そうですね。俺も嬉しいです、智さんに少しでも早く会えて」