第22章 What is your dream ? #5
《Satoshi's time》
俺と翔くんが出逢ったのは高校に入学して1週間たった頃だった。
クラスの奴らとも何となく打ち解け始め、何部に入る?なんて会話がされそれぞれに目的の部活へ見学に行き始めた。
元から部活に入る気がなかった俺は一人踊れる場所を探し校内を彷徨いてた。
人に見られずに踊れる場所なんて大方目星はついてた。その場所へ行くと案の定そこには誰も居なくて、俺は鞄を置き制服の上着を脱いだ。
音楽を小さめにかけ踊り始めるとひとりの世界へ入り込んでいく。
その日は快晴で踊っていてとても気持ちが良かった。
一頻り踊り終わると扉の前に人の気配を感じた。『ヤベェ、見られてたか…一人でこんな所で踊ってて変な奴って思われたかな…』
まともにそちらを見ることが出来なかったんだけどその人影は何時まで経っても動く気配がない。
そおっと顔を動かしその人物の様子を伺うと、くりっとした大きな目を見開いたままこっちを見ていた。
俺の視線に気が付いたのかハッとしてこちらを見た。目が合った瞬間、ドキッとなった俺の心臓。
ドキドキは止まらず、その人物から目が離せない。
いわゆる一目惚れってやつを俺はした。
この人とお知り合いになりたい…引き寄せられるように足がその人へと向かった。
その人の前に立つと何を言っていいのかわからず、咄嗟に出た言葉は
「一緒に踊る?」
あぁ、やっちまった…突然こんなこと言ったら絶対おかしな奴だと思われるじゃん…へこんだ俺の耳に届いたのは
「うん!踊る!」
まさかのオッケーの返事!しかも超可愛い笑顔付きときた!
天にも昇る気持ちとはこういうことを言うのだろう、と俺は15才にして初めて身をもって知ることとなった。