第19章 What is your dream ? #2
「でもさ、大ちゃんは無理でも翔ちゃんくらいなら踊れるようになるんでしょ?」
雅紀はいつの間にか大野さんのことを大ちゃん呼びしてるし…俺の時も思ったけどこいつほんと人に馴染むの早いんだよな。
「俺レベルならすぐに踊れるようになるよ」
「じゃあ俺入ろっかな」
「ほんとに?雅紀入ってくれるの?」
「うん、高校では新しいこと始めたかったし…大ちゃんすげぇカッコ良かったし。何よりも楽しそうだしね」
「うん!絶対楽しいって。雅紀スタイルいいし…手足長いからカッコよく踊れるよ!」
翔さんは両手で雅紀の両手を包むように握り、雅紀のことを褒めちぎる。
その向こう側にいる大野さんに目をやると眉毛を寄せ、少し口を尖らせながらふたりのことを見ていた。
「ほんと?じゃあ俺入る!」
「やったぁ!ありがと雅紀!」
翔さんが雅紀に抱きつくと大野さんの眉間に益々皺が寄る。
あんなに表情に出してるのに口に出して抗議しないってことはこのふたり付き合ってはなさそう…両想いだけどお互いの気持ちに気が付いてないってとこか。
「ねぇ、智くん雅紀入ってくれるって」
翔さんが雅紀に抱きついたまま顔だけ大野さんの方に向け嬉しそうに伝えるが、大野さんはそっけなく頷くだけ。
「智くん、嬉しくないの?新入部員だよ?」
「嬉しいよ」
「そう?ならいいんだけど、なんか機嫌悪そうだから何か気に入らないのかと思った」
気に入らないことがあるとすれば翔さんが雅紀に抱きついてることだろ。
でも初対面の俺がそれを伝える勇気はないから黙ってるけどね。