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恋歌 《気象系BL》

第17章 メガネの向こう側


翔さんに覆い被さり、首筋に軽く吸い付いた。
翔さんは擽ったそうに首を縮ませ、小さな吐息を漏らす。
シャツの裾から手を差し入れ、直接肌に触れ撫で上げるとビクッと身体が震えた。

このまま先へ進んでいいのか?
翔さんの顔を見ると、頬をピンク染めうっとりと俺を見詰める…
その表情を肯定の意味と捉え、翔さんのシャツのボタンに手を掛けた。

ひとつずつボタンを外していく俺の手を、止めることなく見詰めている翔さん。

「大野の手って綺麗だよね…」

不意にそう言われ手が止まる。

「俺の手?」

「うん…絵を描いてるときに思った…
指がスラッとしてて、綺麗な手だなって…」

翔さんの手が俺の手を取ると、指を絡ませるように握ってきた。
そのまま翔さんの口元に引き寄せられる。

「好きだな…この指…」

目を伏せ、俺の指に唇を触れさせながら囁く翔さんに目を奪われた。
完全に動きがフリーズした俺を、翔さんが不思議そうに見上げる。

「大野?どうした?」

今度は、打って変わって、キョトンとした可愛らしい表情で俺を見るんだ。
次から次へと新しい翔さんが出てくる…もっと見たい、色々な翔さん。

右手は翔さんと繋がれたまま、左手だけでボタンを外していく。

「大野って、手先器用なんだね…」

「今そこ感心するところ?」

「え?ダメ?」

「ううん、いいよ。翔さんらしい…でもさ、もう大野って呼ぶのやめない?」

「あっ…え、と…さ、とし?」

「何で疑問形?俺の名前知らないの?」

「知ってるけど…『君』つけた方がいいのかなって…」

「ははっ、つけなくていいから」

「じゃあ、智」

「うん、それでいい」

ニコッと笑うと、同じように翔さんもニコッと笑い返してくれた。
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