第17章 メガネの向こう側
櫻井が教室を出て少し経ってから、相葉ちゃんが姿を見せた。
「相葉ちゃんおっそ~い!もう翔ちゃん帰っちゃったよ」
ニノが少し剥れたような表情をする。
「悪い悪い!学年主任の話聞いてたら、世間話始められちゃって抜けるに抜けらんなくてさぁ。翔ちゃんにも、今会ったから謝っといた」
「もう、ほんと相葉ちゃんは人がいいんだから」
ニノが呆れ気味に言ったけど、そんな相葉ちゃんのことが好きなんだろ?
ニノから聞いた訳じゃないけど、ニノが相葉ちゃんに好意を持ってるのはなんとなく気がついてた。
櫻井も言ってたけど、美術部でもないのに常にここに居たんだ。
俺と仲がいいから来てる訳じゃない。ニノがここに来てるから仲良くなった。
「さっき翔ちゃんから聞いたんだけどさぁ。相葉ちゃん、学生の頃彼女いたんでしょ?
何人くらいの人と付き合ったの?」
「え~、翔ちゃんそんな話したの?
もう…生徒になに話してんだよ」
苦笑いしてるけど、怒ってはないのが相葉ちゃんらしい。
「ちょっと翔ちゃんのイメージ変わった。あんなに話しやすいとは思わなかったよ」
「だろ?昔と表情は変わっちゃったけど、中身は変わる訳じゃないからな。今でも優しい人だよ」
ニノに櫻井のことを理解して貰えたのが嬉しかったのか、相葉ちゃんが微笑んだ。
「ねぇねぇ。それより何人なの?教えてよ」
「そんなの聞いてどうすんだよ」
「いいじゃん、知りたいんだもん…来るもの拒まずだったんでしょ?相当モテたの?」
「中高合わせて6人、大学時代は3人かな?」
「え?そんなに?ほんとにモテたんだ…」
ニノの顔が少し寂しそうだったけど、自分で聞いて落ち込んでたんじゃ世話がない。