第3章 second love
「こんにちはー」
「あら翔くん、久しぶり」
「おばさん、和います?」
「えぇ、部屋にいるわよ、上がって」
「お邪魔しま~す」
玄関から母さんと翔ちゃんの話声がした。
階段を上がる音がする…
「和、入るよ~」
ドアが開き翔ちゃんが入ってきた。
「久しぶりじゃん、どうしたの?」
ベッドに寝ころがってゲームをしながら翔ちゃんに返事をした。
「あいかわらずだなぁ、和は…」
「悪かったね、俺にはゲームさえあればいいのぉ」
翔ちゃんが勉強机の椅子に座り苦笑いをした。
「そんなこと言わないで明日出掛けようぜ」
翔ちゃんからの外出の誘い…ちょっと、いやだいぶ嬉しかったりする…
翔ちゃんは2才上のお隣さん、いわゆる幼馴染みってやつ。
でも俺にとってはそれだけじゃないんだ…
ずっと優しい「お兄ちゃん」だった翔ちゃんが俺が中学生になった頃から「好きな人」に変わった。
もちろん翔ちゃんはそのことを知らない…
それでも翔ちゃんと少しでも近くにいたくて、高校、大学と翔ちゃんの後を追って受験した。
クラスが一緒になれる訳でもないし翔ちゃんの方が先に卒業しちゃうのは分かってる、それでも良かったんだ…翔ちゃんを感じられる空間に居られるだけで…
翔ちゃんは2年前に就職し、俺は今大学4年生。
生活の違いから最近会うことが減っていた翔ちゃんからの誘い…
嬉しいけど天の邪鬼の俺は素直に嬉しい表情が出来ない。
「どこ行くの?」
「海?」
「何で疑問形?」
「まだ決定じゃないから」
「どうゆうこと?」
珍しいな何でも計画をしっかり立てる翔ちゃんが決めてないって…
「ん?和が行きたいところでいいよって、潤が」
「潤くん?なんで潤くんが?」
潤くんは俺の高校からの同級生…今も同じ大学には通ってるけど学部が違うからほとんどの会うことはない。
潤くんは高校の時、翔ちゃんと一緒に生徒会をやっていて翔ちゃんを崇拝していた。