第16章 sincerely
世界一の幸せをふたりで共有したあと、翔は布団の中で俺が描いた絵をずっと眺めてる…俺はそんな翔を後ろから抱きしめ一緒に絵を眺めた。
「いつの間に描いたんですか?」
「翔の絵を描いてプレゼントしようと思ったのは俺の誕生日が終わってすぐだったから時間はいっぱいあったよ」
「でも描いてる姿見てない…ずっと一緒にいたのに」
「翔が寝たあと少しずつ描いてた」
「寝た後?仕事で疲れてたでしょ?…今だって忙しいのに…」
「あぁ、ごめんな?仕事って嘘なんだ」
「嘘?」
翔が顔だけ振り返って俺を見た。
「そう、嘘…下絵はさ、翔が寝てるときに描けたんだけど、色染めるのは家でやったらバレると思って、ニノの家貸して貰ってた」
「そうだったんですか…でも疲れさせちゃったことには変わりないですよね」
「疲れてないよ?元々絵描くのってストレス解消になるし、況してや翔の絵だよ?疲れなんてこれっぽっちも感じないって…それどころか出来あがってく絵見てワクワクしてた…翔、わかってる?この表情ってエッチしてて翔が気持ちいい時の表情なの」
「えっ⁉やだっ!嘘っ!なんでそんな顔描いたんですか?」
翔は勢いよく身体を起こし体ごと向き直ると俺を見下ろした。
「だってすっげぇ綺麗だと思ったんだもん…デザインはさ、最初から天使にしようと思ってたんだけど表情だけがなかなか決まらなくて…そしたらさぁ、沖縄でお前抱いたときメッチャ綺麗だったの…あぁ、この顔写真に撮りてぇ、って思ったんだけどまさかほんとに撮るわけいかないじゃん…だったら絵に残せばいいかって思ったんだよ」
「う~…嬉しいけど、恥ずかしい…そんなときの表情ずっと見られてるなんて」
「いいじゃん、俺は見ていたいんだから」
「見られる俺は恥ずかしいんです」
「ここに飾っておけば誰にも見られないよ?」
「え?ここに?俺へのプレゼントなのに家に持って帰れないんですか?」
「持って帰ったら俺が見られないじゃん、だから駄目…」