第16章 sincerely
「えっ!これ…お、れ?」
翔の目が驚きで見開かれる…ベッドに戻ると翔の横に座り肩を抱いた。
「そう、翔だよ…」
翔の顔が見る見る内に紅く染まっていく。
「なんで羽根…」
そう、俺が最後に仕上げたかった部分…あいつらには絶対見せたくなかった『天使の羽根』を背中に生やした翔。
「俺の目には見えたんだよ…俺の誕生日にお前のこと抱いただろ?そん時ふわっと倒れて行くお前の背中に白い天使の羽根が見えて…あぁ俺天使を抱いてたんだぁ、ってあん時マジで思った」
「そんな…俺、天使なんかじゃない…」
「俺にとっては天使なの…幸せを運んできてくれたんだから…子供の時にはじめて逢ってからさ、俺が幸せ感じる時ってお前のこと考えてるときなんだよなぁ」
16年前出逢った時もその後夢の中に現れた時もさくちゃんのことを想うだけで幸せな気持ちになれた。そして今、こうして再び廻り合い翔と愛し合えてることに人生最高の喜びを感じてる。
「あぁ、またぁ…」
翔に向かって手を伸ばし頬を伝う涙を指で拭った。
「だ、だって…智さんがそんなこと言うから…」
涙を流す翔をそっと抱き寄せると翔がギュッと抱きついてきた。
「俺が天使なら、智さんは神様です…天使を幸せにしてくれるんだから」
「神様が天使を幸せにするなんて聞いたこと無いぞ?」
「いいんです…俺が智さんを幸せにするよりも智さんの方が俺のこと幸せにしてくれてるんだから…天使よりも凄いんだから神様なんです」
「ははっ、なんだそれ?大体どっちがより幸せにしてるかなんてわからないだろ?」
「わかります!今の俺は世界で一番幸せなんだから」
「俺だって世界で一番幸せだよ?」
「そんなことないですよ、間違いなく…」
翔の言葉を遮るように翔の唇に唇を押し付け舌を挿し込み絡ませる…ひとしきり翔とのキスを堪能したあと蕩けきった表情の翔に囁き掛けた。
「いいじゃんもう…ふたり一緒だから世界一幸せなんだろ?」
「はい…」
嬉しそうに微笑む翔を再びベッドに沈めた。