第16章 sincerely
「ご、めんな、さい!」
翔が慌てて俺に近づいてきた。
「なんで謝んの?何も悪いことしてないじゃん」
「え?さと、しさ、ん…なんで…」
俺の目の前で目を見開く翔…
「なに?」
「…く、ちの、なか…なにも、ない…」
表情を固まらせる翔が可愛くて吹き出してしまった。
「ぷっ!なんて顔してだよ」
「…だって…」
翔の瞳が潤みはじめたと思ったらポロっと涙を溢した。
「あぁ、もう泣くなよ…」
翔を抱き寄せると翔は顔を俺の肩に埋め俺の背中に腕を回した。
「はじめてのことで吃驚したか…」
肩の上でコクっと頷いた翔の頭を撫でながら
「お前に気持ちよくなって貰いたかっただけなんだけど…ごめんな、泣くほど嫌だったとは」
「ちがっ…い、やじゃなか、た…けど、智さん…飲んじゃうか、ら…汚いのに…智さんお腹痛くなっちゃう…」
「あぁ~、そっち?そんなの気にするなよ、飲んだって何の問題もないよ?体に悪影響とかないから」
「え?そう、なんですか?」
顔をあげ驚いた表情で俺の顔を見た。
「うん、知らなかった?今翔にしたことって特別な事じゃないよ?」
「う、そ…」
「お前、ほんとこういうの何も知らないんだな」
「だって、知る機会がなかったから」
「俺的にはそれでいいんだけど。これからも俺からされることは特別な事じゃないからな?イチイチ泣かなくていいから…お前は気持ちいいと思ったら素直に感じてればいいの…わかった?」
「は、い…」
「さっきもイッたってことは我慢出来ないくらい気持ちよかったんだろ?」
からかい半分でそう聞いたのに、頬をピンクに染めた翔は少し俯くと恥ずかしそうにはにかみながらもハッキリと言うんだ…
「…凄く気持ちよかったです」