第16章 sincerely
汗をかいた翔の身体をタオルで拭き清め、パジャマを着せてやっても目覚める気配はない。スヤスヤと幸せそうな笑みを浮かべ眠る翔。まぁ事が済んだ後、大抵翔は深い眠りに入る…今日はいつもに増して疲れてたし無茶の連発だったから明日の朝まで起きることはないだろう。
しかし俺も無茶したな、だいぶ腰を酷使した…明日大丈夫か?自業自得とは言え若干の不安と翔を胸に抱きながら眠りに就いた。
「うっ、いってぇ…」
朝、目が覚めるといつもと同じように俺に寄り添うように眠る翔。ほんとに愛らしい寝姿を甘い気持ちで眺めていたいんだけど、やっぱり昨夜の無理が祟ったな…腰がやられた…最近運動不足だったしな、少し筋トレでもするかな。
「んっ…」
腕の中の翔の睫毛がピクッと震えゆっくりと開いていった…見慣れているはずのその姿が今日は一段と艶やかでドキッとした。
「あ、智さん…おはようございます」
微笑みも気だるさを纏ってて色っぽい…ヤバイな、さっき反省したばかりなのに…
「智さん?」
不思議そうに見つめる翔の頬に手を添えると顔を近づけて行…こうとしたのに
「いってぇ…」
「智さん⁉」
腰が痛くて動けなかった…チクショー!情けねぇ…
「大丈夫ですか?」
「あ、うん…大丈夫…」
身体を起こし、心配そうに俺を見つめる翔。
「どうしたんですか?どこか痛いんですか?」
「うん、まぁ、ちょっと腰が…」
「え?あっ!」
顔を真っ赤に染めた翔。
「ごめんなさい…」
「なんで謝んだよ」
「だって…俺のせいでしょ?俺が無理させたから…」
「確かに翔も欲しがってくれたけどね、俺の方がもっと翔のことを欲しかったから自分の責任だよ」
「でも…」
「たいしたことないから大丈夫だって…でももう少しこうしてていい?」
翔の腕を引っ張り腕の中に閉じ込めると翔の腕が俺の背中に回る。翔のことを考えて今日の予定をゆっくりめに考えていたけど実際助かったのは俺だったな。