第16章 sincerely
「ホエールウォッチングは明日なんですよね?」
「そうだよ…今日は連れて行きたいとこあるんだ…お昼前に空港に着くからそこから車で移動な、勝手に行くとこ決めちゃったけどいい?」
「俺沖縄は始めてなんで智さんにお任せします」
「俺もそんなに知ってる訳じゃないよ、1度釣りに来たことがあるだけでそんなに観光とかしてないし…でもこれから行くところは翔にも見せたいな、って思ったからさ」
「そうなんですね。智さんに旅行の話聞いてからずっと楽しみだったんです…昨日の夜もドキドキして眠れなくて」
子供のような笑顔で話す翔…昨日の夜眠れてないのはわかってた。俺の腕の中にいてもモゾモゾしてた…だから俺も眠れなかったんだけど…
「もしかして智さんも眠れなかったんですか?」
「え?なんで?」
「なんか少し疲れてるような…」
お前のせいだよ、とは言えない…俺だって毎晩盛ってるわけじゃないよ?大人しく寝る日だって普通にある。でもそういう時ってさ日頃の疲れもあるから比較的すぐ眠りに落ちるじゃん…昨夜は今日のことがあるから早めに寝せてやろうと思ったのにまさか嬉しくて眠れないなんて予想外…それだったら抱き潰した方が早く寝かせてやれたかも…俺も変に欲求不満にならずに済んだだろうし…
「疲れてないよ?俺もドキドキして眠りが浅かったのかも」
「智さんもドキドキしてたんですね」
嬉しそうに笑う翔…
お前と俺とじゃドキドキの理由は違うけどな。