第12章 gift
「智さん、ごめんなさい…起きて?」
「翔?どうした?」
「プレゼントまだ渡してなくて、あと5分で今日が終わっちゃうから」
「え?プレゼントまだあったの?」
「あります…だってまだまともなプレゼントあげてないじゃないですか」
「十分貰ったけどなぁ…」
「いいから受け取ってください…自分で考えたプレゼントなんですから」
小さな紙袋を智さんに渡した。
「誕生日おめでとうございます」
「ありがと、って今日何回目?」
「何度でも言いますよ、智さんが生まれて来てくれた日なんですから」
「そっか、そうだよな…生まれて来なければ翔にも会えなかったんだもんな」
智さんの誕生日なのに俺へのプレゼントのような一言をくれる…でも浸ってる時間はないんだ。
「早く開けてください…日付変わっちゃう」
「あ、やべっ」
智さんが急いで包装を開けた。
「懐中時計?」
「はい、時計を贈りたくて…でも智さん腕時計のイメージじゃなかったから」
「なんで時計?」
「これから先の時間を一緒に刻んで行けたらなって…」
「ありがと、翔がそんな風に考えてくれたことが嬉しい」
「智さん、俺色々考えすぎちゃうとこありますけど、これから先もずっと智さんと一緒にいたい…誰にも智さんを渡したくないです」
「うん、わかってるから大丈夫…俺も絶対お前の事離さないから…愛してるよ、翔…」
「智さん、俺も…愛してます」
「ふふっ、初めてだな、翔に『愛してる』って言って貰うの…一番のプレゼントだよ」
「そうでしたっけ?」
「そうだよ、俺が『愛してる』って言うと『俺も』っては言ってくれるけどさ、ちゃんと言ってくれたのは初めて」
「ごめんなさい、いつも心の中では言ってるんですよ?」
「まあいいさ、翔の気持ちは手に取るようにわかるしな…さっきも気持ちいいのに『やめて』って言うし」
「あ、あれは!」
気持ち良すぎて怖かったから…
「気持ち良すぎたんだろ?」
「そんなことっ!」
何でわかっちゃうんだろ?
「そんなことあるだろ?なんならもう一度試してみようか?」
智さんにゆっくりと押し倒された…
「また気持ちよくしてやるから、今度は素直に感じろよ?」
「…はい」
智さんの首に腕を回すと智さんは嬉しそうに微笑み俺の唇にキスを落とした。
End