第1章 promise
『ねぇ、さくちゃん
大きくなったらオレのお嫁さんになってくれる?』
『さとくんのお嫁さん?
ん~、さとくんならいいかなぁ』
『ほんと⁉じゃあ、約束ね?』
『うん、約束』
ピピッ、ピピッ、ピピッ
目覚ましがなって目が覚めた…
「なんだよ~、久しぶりにさくちゃんの夢見てたのに~」
俺の初恋…
たった5日間しか遊べなかったけど、7才の時に初めて好きになった女の子。
クリクリした大きな目と俺より遥かに白い肌のいろ…
それくらいしか記憶に残ってないけど凄く可愛い子だった、はず。
まあ、俺の願望も込められて、いいように記憶が塗り替えられてるのかも…
美しい記憶はより美しく、ってか?
俺らしくもない…
でも、久しぶりにさくちゃんの夢見たなぁ…
桜の季節だからかな。
俺とさくちゃんが会ったのも、ちょうど今ぐらいの季節だった。
16年前の春休み、母ちゃんのばあちゃん、俺からすれば曾祖母ちゃんの体調が悪いって連絡が入った。
子供の頃、ばあちゃん子だった母ちゃんは、俺を連れて田舎の曾祖母ちゃんのところへ行った。
曾祖母ちゃんの体調は思った以上に悪く、もう数日しか持たないだろうということで
母ちゃんと俺は春休みということもあり、暫くそこに滞在することになった。
子供の俺はそんな事情は知らず、遊び相手のいない暇な時間をもて余していた。
窓の外を見ると大きな桜の木があって、満開に咲いていた。
すぐ近くの公園に生えてる木だというから、母ちゃんに声をかけて俺はひとりで公園に遊びに行った。