第8章 Lovers
力の抜けきった翔を抱き上げた。
「えっ、智さん?」
驚いて動こうとするから
「動くと落ちるよ?ちゃんと掴まってて」
慌てて俺の首に腕を回す翔。
「これからもっと体に負担掛かるから布団行くよ」
ニコッと笑うと言ってる意味がわかったようで、恥ずかしそうに俯く翔。
翔をそっと布団に下ろすと布団を離れた。
「智さん?」
荷物の中からさっき相葉に貰ったボトルを手に取り翔の所に戻る。
「なんですか、それ?」
「ん、ふたりで気持ちよくなる為の必需品。さっき相葉に貰った」
「え、雅紀に?」
「そう、まさか今日こんな事になるなんて思ってなかったから用意してなくて」
「ちょっと待って、てことは雅紀はわかってるんですか?」
「何を?」
「……今、俺たちがしてること…」
「ん、あぁ、何となくはわかってるだろ?じゃなきゃこれくれないだろうし」
「なんでっ?」
「だって、部屋に戻って来たときの翔の顔エロかったもん、温泉で何してたかわかったんだろ」
「…エロかった…」
翔は呟くと顔を枕に押し付けた。
「どうした?」
「……恥ずかしい…」
「なんで?」
「だって…エロいなんて…そんなはしたない…」
はしたないって…今時言うか?そこが翔らしいんだけど…
「ごめん、言い直す…色っぽかった」
「どっちでも一緒です…」
「色っぽいのも駄目なの?俺は嬉しいけど」
「嬉しい?智さんが?」
顔を横に向けると俺をちらっと見た。
「嬉しいよ、だって俺の手でここまで育てたんだもん…最初なんて抱きしめるだけでガチガチに固まって『泣きそう』なんて言ってたんだよ?それがこんなに色っぽくなってさぁ、今じゃ俺の方が翔の色気にヤられちゃう…今だって結構必死に耐えてるんだけど…」
そう言って自分の下半身へ目をやると、翔も気がついたようで
「あっ、ごめんなさい…」
顔を真っ赤に染めた。