第6章 desire
「翔…」
智さんが俺の顔を心配そうに覗いた…
「ごめんな…調子に乗りすぎた…もうしないから…」
そう言って智さんが俺の頬を撫でるとその手は濡れていた。
智さんのキスは気持ちいい…だけどむずむずとゾクゾクが怖くて自然と体に力が入った。
いつの間にか涙が溢れていて、すがるように智さんの服をぎゅっと握りしめていた。
「ごめんなさい、智さん…俺が弱いから…」
得体の知れない感覚が怖くて、耐えられなかった。
「ううん、翔は悪くないよ?焦るつもりなかったのに夕べから翔が色っぽくて…止まれなくなった俺が悪い」
いつもの優しい目の智さんに戻ってほっとした。あの目も嫌いじゃない…でもあの目をされるとむずむずが酷くなるんだ。
「翔?大丈夫?」
智さんの胸の中で頷いてぎゅっと抱きついた。
「もう少しこのままいてもいいですか?」
「ん~、この姿勢は辛いな…」
そう言って俺を抱き起こすとソファに座り智さんの膝の上に俺を座らせ抱きしめてくれた。
俺も智さんの首に腕を巻き付けぎゅっと抱きついた。
「翔、泣かせてごめんな…」
首を横に振った。
「ふふっ、くすぐったい…」
「あ、ごめんなさい」
慌てて離れようとした俺の頭をそっと押さえ智さんの肩に戻された。
「大丈夫だからこのままいて…」
智さんの優しい声が耳に心地いい…そのまま智さんの肩に凭れ掛かった。
「智さん、ごめんなさい…俺、智さんに遠慮しないでって言ったくせに…急に怖くなって…」
「気にするな、翔が怖いのは当たり前だから…だからゆっくり進んでこ?翔は心配しないで俺の側に居ればいい…」
微笑みながらそっとキスを落としてくれる智さん。
今はまだその優しい瞳と囁きに甘えさせて貰っていいですか…
End