第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
炎火「…そんなの、父さんが決める事だ」
そう言うと、炎輪は黙って俯いた
炎火「…父さんの言う通り、俺は現実から理想へ逃げていただけなのかもしれない…」
炎輪「姫…」
炎火「だけど、俺は"夢"を見る事が悪い事だとは思った事はない」
炎輪「…夢は誰だって見る、だからか…?」
炎火「いいや、違う」
炎火は首を横に振って、夕日に染まる空を見上げた
炎火「夢を見るのは
"明日"を見るのと一緒だからだ」
炎輪「明日を…?」
炎火「明日は晴れて欲しいとか、楽しい日であって欲しいとか思うのって、それも小さな夢で理想だ」
スッと片腕を上げて炎火は空を指差す
炎火「父さんだって、何か思った事はあるだろ? 小さな、何かを…」
炎輪「俺は…、………お前に会いたいと思った…」
炎火「それは夢から現実となった。 理想が現実なって、現実は夢になる」
空に片腕を上げたまま炎火は炎輪を見た
炎火「夢を見れなくなったら、人が明日を迎えられなくなるのと一緒…」
雫「炎火ー! 行くよー!!」