第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
\炎上の民と水底の民/
炎火「ゲホッ…ゲホッ…!!」
胸ぐらを掴んでいた炎輪の手が離され、炎火は床に落ちて呼吸を求めて咳込む
炎輪「…姫、今のお前は美しくない。 糸が切れてしまったただの人形のようだ…」
炎火「黙っ…れっ…!」
見下ろす炎輪を睨みながら炎火は立ち上がった
炎火「糸なんて俺には始めからついていなかった…! それを縛るようにくくりつけたのはお前だっ…!!」
炎輪「いや、姫は糸がなければ立っていられなかった。 始めからね」
炎火「じゃあ言ってみろ!! 俺がどうしてこうなったのか!!」
炎輪「それは姫が言う事だよ? 俺が居なければ姫は生きてはいられなかったさ」
炎輪はそっと炎火の髪に触れると、それを拒むように炎火が叩き落とした
炎輪「そうやって俺に噛みつく所が母親にそっくりだよ」
炎火「お前は死んだ母を俺に重ねてるだけだ、明日が分からずにおびえる大人だ」
炎輪「ならば姫は現実から理想の世界へ逃げるただの子供だ」
炎火「…違う」
炎輪「何も違わないさ。 夢を見て、嫌な事は全てなかったように削除する」
炎火「俺は理想を夢見ながらも現実とちゃんと向き合っている!!!!」