第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
【水奈はいつもの場所で遊んでるのかしら…? 他の人と避難してればいいんだけどッ…】
=ヒュッ=
風を切る音が聞こえた
【ぐっ…!】
その後にお母さんの苦しむ声と、お母さんが地に倒れる音
【お母さん…!!?】
【うっくっ…】
お母さんの片足の足首には矢が刺さっていた
【どうも初めまして、執事のメアと申します】
声が聞こえてそちらを見ると、そこには片手にボウガンを持ったタキシード姿の炎上の民と兵達…
【奥様、子供は渡していただきますよ?】
【雫! 逃げなさいっ…!!】
【おっお母さんも一緒に…!】
【…子供を捕らえろ】
【はっ!】
執事のメアという男の指示で兵達が私を捕らえようと駆け足で近付いてくる
【血の十字架…!!】
お母さんの足首から流れる血が地面から空に向かって鋭い刺のように立ち、何人かの兵に突き刺さる
【ほう…。 貴方ですか、おかしな能力を使う水底の民とは…】
執事のメアという男は興味深そうにお母さんを見る
お母さんは片足を引きずるように立ち上がった
【おかしな能力とは失礼ではなくて…? この能力は"水龍様"が下さった特別な能力よ!!】
水龍様…?