第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
【どっどうしたの雫姉さん!!? どっか痛いの? 僕が痛くない痛くないしてあげる!!】
慌てながら水奈は布を持ってきてくれた
【…ありがとうね水奈っ…。 でも大丈夫よっ…、何処も痛くないから…】
私は水奈が持ってきてくれた布でこぼれそうになった涙を拭った
【じゃあ雫姉さん…、何が悲しいの…?】
【ただね…、私は…】
両方選べればいいのにねって、思ったの…
ーー。
【…お母さん】
【んー? どうしたの雫? 髪が伸びるのはまだまだ先よ】
【まだ何も言ってないわよ、何もかも髪に話を繋げないで!】
【あら反抗期? …で、どうしたの?】
お母さんはくるっと私の方を振り返った
私はごくりっと息を呑んで思い切って問いかけた
【どうして炎上の民と水底の民は憎しみ合ってるの…?】