第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
…本当に、そう?
「子さえ死んでくれれば、司馬羅炎輪に精神的苦痛を与えれたのかもしれないのにな…」
「絶望に堕ちた顔を拝めると思ったのにのぅ…」
何を言ってるの? この人達は…?
雫「まっ待って! 実は私、記憶がなくて…」
「え? 雫ちゃん、記憶喪失だったの!!?」
雫「気付いた時から炎火と一緒で…、つい最近まで自分が何者なのかも分からなかったの…」
「なーんだ! なら殺せなかったのはしょうがないね」
「じゃあ、思い出したらあの子を始末出来るかい?」
雫「しっ始末だなんて…!! 私はそんな事出来ませんっ…!!」
雫がそう言うと、水底の民達は目を丸くしている
「雫ちゃん! まさか炎上の民の情が移ったの!!?」
「しっかりするんだよ雫ちゃん! 亡くなったお母さんの為にも…!!」
雫「お母さん…?」
繰り返すように雫はポツリ呟いた瞬間
=ズキッ=
頭に痛みが走り、セピアの記憶が見えた
それは愛しい母が刺し殺されている姿…
雫「いっ…いやぁあああああああ!!!!!!」