第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
【…何も】
【そう、姫は何もしなくていいんだよ? 姫はお姫様なんだからねー…】
父は俺をあやすように抱きしめながら頭を撫でる
【…父さん】
【んー…?】
【私は父さんのオモチャなのですか?】
ピタッと父の動きが止まった
【…どうしてかな? 姫?】
【私は甘やかされて、花よ蝶よと可愛がられ…。 それはまるで着せかえ人形のようではありませんか】
【…そうだねぇ…】
父は俺の頭を撫でるのを再開した
【姫は可愛いからね…、お父さんは姫が大好きなだけなんだよね…】
【…私は男です、姫じゃないのですよ?】
【姫は姫だよ? 何もおかしくはないよ…、姫はこの国の綺麗なお花で居てほしいのさ】
父はフフッと笑って俺から離れていった
【新しいオモチャ、明日には届くから楽しみにしていなさい?】
父、俺はやっぱり貴方が怖いです
ーー。
俺は走っていた。 駆けていった
息が乱れても、服装が乱れて汚れても気にはしない
朝、俺は城の窓から外を見たら武器を持った兵達が水底の民が暮らす場所へと向かっていた