第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
【うっ…うっ…、やめてっ…炎火君ッ…】
泣きじゃくりながら雫は俺に後ろからしがみついていた
俺はトドメを刺すように片腕を上げていたようだった
【…ごめんね、雫…】
俺が炎上の民で、ごめんなさい…
ーー。
城に戻って、俺は殴った拳を見つめた。 触るとズキリッと痛む
【…冷やしてきましょう…】
夜の城の部屋を出て俺は手を冷やしに行こうとした
【姫様にオモチャですか…?】
声が聞こえて俺は曲がり角の壁に張り付いて息を潜めた
…俺の事?
【姫にはあの地下を見せてあげたから】
もう一人は父の声だった
【しっしかし…、オモチャとはどのような…?】
敬語と微かに聞こえる鎧の音…、見張り兵だろう
【水底の民が暮らしてるとこからある子をさらって来て欲しいんだよね】