第5章 *一番大きな感情編* 完結
君と離れてどのくらい経ったかなんて分からない。 僕は彩と二人でひっそり暮らしていた
毎日当たり前のように彩は君の名前を呟いては笑っていた。 そう、彩も君が好きだったんだ
君は二人の子を連れて帰ってきた
和真という生意気な男の子と、はるという和真といい勝負になりそうな生意気な女の子。 しっかり者のようだけど、僕はあまり気に入らなかった
でも、その後の暮らしはとっても楽しかった。 このまま続けばいいと願った
でもある日、君が壊れた
壊れたまま、彩を抱いていた
まるで母にすがる子のように…
【いいのか?】
外で空を眺める僕の元に和真が来た
【…何が?】
【女、取られちまうぞ?】
…あぁ、この子は僕が彩を好きなんだと思いこんでいる
…むしろそうではないとおかしいだろう。 男が男を好きになるだなんて、おかしくて気持ち悪い話だ
【…うるさい】
【何カッコつけてるの? ダサッ】
…僕は子供が嫌いなんだと今になって気付いた
彩がお腹に子を宿した日、君は僕達の前から消えた。 否、逃げたんだ