第5章 *一番大きな感情編* 完結
一目で俺は
【おかあさんの、おともだちです、か?】
自分の子だと分かった…
【俺は…】
君のお父さんだよ? …なんて言っていいのだろうか?
今更現れて、何だというんだと言われてしまわないだろうか…?
【もしかして、ちづちさん、ですか?】
俺を知ってる…?
この子の瞳をまっすぐ見た時に初めて気づいた。 それは…
【ぼく、用済みなんでしょうか?】
黒が、闇が、暗闇が、この子の瞳を覆っていた。 まるで、生きるのを諦めているような人の目…
【…何を、言ってるんだい?】
【おかあさんが、言ってました。 ちづちさんが帰ってくれば、ぼくはもう要らないんだと】
彩が、自分の子にそんな事を…?
【だからぼくは、用済みなんです】
手に持っている摘んだばかりの一輪の花を見ながらこの子は話を続けた