第5章 *一番大きな感情編* 完結
【われの顔は生まれつきというものだ。 勝手にわれの今の気分をきめられては不愉快だ!】
【ごっごめんなさいっ…!!】
【こらっ! ちづち!】
怒る彩に【睨んでるつもりはない】と言っても信じてもらえなかった
…まぁ、本当は睨んでいたからね。 だってこの男の子…
彩が好きだから近づいて来たみたいだし
俺と仲良くなって彩に近づこうとするだなんて、虫酸が走る
これはきっと、殺気に近い嫉妬
それから三年が経った
俺達は十歳になった
彩は幼さが残っているが、大人っぽく見える
あのもじもじしていた男の子……雪は三年前とあまり変わらない
背が伸びて、髪が伸びた、というくらいだ
一方俺は…
【地土って、変わらないね?】
彩の言う通り、俺は何一つ変わっていない
…背以外
【地土って、私達と少し違うわよね?】
【うん、耳が違うね!】
二人の耳は尖っている。 だけども、俺の耳は丸くて二人のように尖っていない…
【地土は新種なんだね! きっと!】
【ふざけるな。 我は普通だ、二人の方が新種に決まっている】