第5章 *一番大きな感情編* 完結
ケラケラ笑いながら指差してくる雪の頭を俺は叩いてやった
そしたら
【いってー! 何で叩くんだよ!!?】
って文句を言ってきたから
【お前が悪い】
そう言い返してやった
雪は嫌いだ。 密かに彩に好意を寄せているくせに、何故俺にまで付きまとう必要がある?
仲が良い事を彩に見せつける為?
…まぁ、どうでもいいけど
三人で居るのが楽しいという事は事実だから、俺は雪に敵意を向けるのはやめた
それ以来か、雪はもっとよく、俺に微笑んでくれるようになった気がした
十一歳になった頃…。 いや、十一歳になる前になった
気づけばまた、一年が過ぎようとしてた
俺は夜中。 トイレから部屋への帰り廊下を歩いていたら、管理人さんの声が扉が少し開いている部屋から聞こえてきた
管理人さんというのは、この施設の主。 施設の子達のお母さんみたいな人
優しくていい人だけど、俺の母さんは母さんだけ。 二人も要らない…
だから俺は管理人さんに甘えたりなどは一回もなかった
夜中出歩いているとバレたら長い説教を受ける事になる。 気付かれないようにそっとその場を後にしようとしたら…