第5章 *一番大きな感情編* 完結
4歳の頃に…いや、4歳になる前に俺を、施設に入れた
俺を施設に入れたのは母さん
父さんは全く知らない。 会った事など無いし、母さんから聞いた話じゃ行方不明だとか
死んでいようとも生きていようとも、俺にとって父さんはどうでもよかった
母さんさえ居てくれれば、何も要らなかった
だけど、そう思っていたのはきっと俺だけ…
母さんは俺が邪魔だったんだ。 母さんは色々と忙しかったから…
でも、心の何処かでは
母さんが迎えに来てくれる事を期待していた
【ねぇ、遊ぼうよ?】
また来た
この女の子は毎回毎回飽きずに俺の元へ来る
見た目的に同年齢かな
俺は五歳になっていた。 施設に入って一年ちょっと過ぎた頃に、この女の子は施設にやって来た
【わたし、彩っていうの! あなたは?】
【われに寄るな】
他人なんて信用出来ない
大人でも、子供でも、女でも男でも…
【われ? おもしろい言い方でじぶんをよぶのね!】
楽しそうに無邪気な笑顔で笑った女の子
俺が彼女に惚れたのはこの時だった
惚れたと同時に、俺という名の歯車はズレ始めたんだ