第9章 通じ合う
一瞬心臓が止まったんじゃないかと不安になったが、すぐにバクバクと早くなる。
『な、なんで……………今日の夜じゃ…………』
ちがう、こんなこと言いたいんじゃない、
『あぁ………早まった。あまりにも被害が出てね。』
『あ、あの、わたし………ごめんなさい、部屋に、勝手に』
『…………俺が聞きたいのは違う言葉なんだが…』
『………おかえりなさい、よくご無事で………』
私がそう言うとエルヴィンさんはいつもの笑顔で『ありがとう』と言ってくれた。
『あの、私…………副分隊長に言いたいことがあります。』
エルヴィンさんに珈琲を淹れ、隣のソファーに座る。
『………なんだい?』
いおう、
絶対言おう。
好きだって。
でも、いざ言おうと思うと
言葉が出てこない。
『………君が言いたいことはわかってるよ、悩ませてすまなかったね』
えっ?
『君は俺に対しての上司以上の気持ちがないんだろう?』
違う、
『…………俺はもう覚悟はしているよ、アンのことを諦める準備もしている、』
そう言うとエルヴィンさんは立ち上がる。
『違いますっ!!!!』
私はとっさにエルヴィンさんの広い背中に抱きつく。