第9章 通じ合う
もう、これ以上引き下がれない。
『誰が、断るなんて言ったんですか………?私はずっと、………ずっと前から…………好き、でした』
心臓がバクバクしてうるさい。エルヴィンさんに聞こえていないといいけど………
『アン………それは………本当か………?』
くるりと体制を変えて肩に手を置き私の顔を見つめてくる。
『……本当です。副分隊長がお客さんとして来てくれていた頃から、ずっと、お慕いしております。』
『…………お前を殴るような男だぞ』
『はい』
『嫉妬もかなり激しい』
『はい』
『人類の栄光のためならどんな事でもする男だぞ、それでもいいのか』
『………私はついていくだけです。』
『っ、アン……っ!』
エルヴィンさんはその大きな身体で私を抱き寄せてくる。今までにないくらい、とても強い力で。
『すまなかった…………本当に弱かったのは俺の方なんだ…………君に振られたくなかったがために君を避けてしまった。君に不安な思いをさせたくないがために壁外調査のことを内緒にして、突き放して……終いには君に手をあげてしまった。』
『…………っ嫌いになっちゃったのかと思ってました……』
『まさか………嫌いになるはずがないだろう。君が………その、愛おしいが故に俺がしてしまったことだ。すべて俺が悪い。本当にすまなかった』
『わ、私は大丈夫ですから』
『……………目が赤い。泣いていたんじゃないのか?』
うっ、さすがエルヴィンさん………
『まったく。俺の前では強がらないでくれ。』
『……はい、』
『あと、何個か約束してくれないか?』
私をそのまま抱き寄せた状態で約束ごとを言われた。
『まず一つは何かあれば俺を頼ること。そして絶対に無理はしないこと。いいね?』