第9章 通じ合う
……………空き巣が入ったわけでもなさそうだし………
私は自然とエルヴィンさんの部屋へと入り、片付けはじめた。
勝手に人の部屋に入って片付けをするなんて、私はエルヴィンさんのお母さんか、とツッコミをしたくもなるし、失礼だと思ったけど、帰ってきてからこの部屋に入っても疲れが取れないんじゃないか、と私なりに考えた。
少なくともいつも部屋は綺麗だったんだから部屋が綺麗になっていて嫌な気分にはならないはず…………だと信じたい。
片付けるとは言ってもバラバラに床に落ちていた本は1箇所にまとめ、散在していた書類はデスクの上に重ねておき、エルヴィンさんが後から探さないよう近くに落ちていたものは近くに上げておく、という感じにした。
少し時間が経つ頃には部屋はなんとなく整えられているようになった。あとは掃き掃除をしようかな、と私は休憩がてらソファーに座らせてもらう。
今日の朝までエルヴィンさんがここにいたというのがほんのり香る香水で理解でき、それと同時に安心した。
エルヴィンさんって昔から香水変えていないはず。だからこんなに安心できるんだな………。
………………あれ、
そういえば私……………
………………昨日寝ていないんだった………………眠気が…………………
私は夢の中へと手を引っ張られたように感じ、そのまま目を閉じた。