第8章 距離感
控えめにドアを叩く。
しばらくするとキィ、と音を立ててドアが開く。
『………っ、アン』
『あ、あの……副分隊長、なにか手伝えることはありませんか………?』
ちゃんと見れていなかったけど、エルヴィンさん寝れていないのかな………いつも綺麗に整っている髪が乱れ、目の下にはくまが。それにどことなく疲れてる感じ。
『ほ、ほら私補佐のくせになにもそれっぽいことしていないなって思いまして…………それに』
あの時の返事しようと思って…………
『…………ああ、そうだったね、だけど今は大丈夫だよ』
私が続きの言葉を言おうとすると、どことなく私を突き放す言い方でエルヴィンさんは言葉を重ねてくる。
胸がズキンと痛む。
『で、でも………』
『いい子だから戻りなさい、』
そのままドアを閉められてしまう。
もしかして私………
避けられてる………??