第1章 出会い
部屋の作りはとてもシンプルで、ベッドがありテーブルにソファーがあるだけである。
その人は部屋に入るとドカっとソファーに腰掛ける。
…………隣に座れってことかな。
私はそう思って近づこうとすると。
『すまない、寝てもいいだろうか』
そう言ってソファーに横になり寝る体勢になってしまった。
『えっ』
思わず口に出してしまった。大抵は部屋に入ったあとすぐになにかしら行動に移してくるのに。
『あの……………』
私はその人に近づく。ソファーの前にしゃがみ相手の手を握る。
『何か、しないんですか?』
首をかしげ甘えた声で聞いてみる。
『…………君はしたいのか?』
逆に質問されてしまい私は戸惑う。
『もちろんお金は払うさ。すまないが俺はここにそういうことをしには来ていないんだ………』
じゃあなんで来たんですか?
そう、質問しようとした。
『あいつらとは同期でね、ここに来てみようと言われて。俺は断ったのだが無理やり連れてこられたんだ。ああ、もちろん君じゃなくても俺は何もしない予定だったよ……』
『な、なんで……』
私が思ってることがわかるんですか……
すごく不思議な気分だった。普段まわりからは、何を考えているかわからないと言われ続けていた。なんでこの人にはわかるんだろう。
『君はとても表情が動くね、わかりやすい。』
クスクスと目を細める。
『…………もしよかったら私の話し相手になってくれないかい?』
『えっ、は、話し相手?』
『あぁ、君と話していると飽きない。』
どうやら、私のコロコロ動く表情が面白いらしい。
このまま何もしないのも暇だし、この人の話し相手をつとめることになった。