第5章 苦痛
次の日の早朝、私はエルヴィンさんに支えられ兵士がいないのを見計らって部屋へと移動することとなった。
『大変お世話になりました』
『痛み止めがなくなったらいつでもおいで、なんやかんや言って私も寂しくてね……。』
お医者さんにお礼を言うと頭をわしゃわしゃしてくれた。
『さて、行こうか。そろそろ早起きな兵士は起きる時間だからね』
『あ、はい』
数週間ろくに歩いていなかったため、筋力が落ちているようだ。エルヴィンさんに肩をだかれながら歩いている。
『あの…………そこまでしなくても私大丈夫ですよ…………?』
『筋力が落ちてしまった影響で転んでしまったらどうするんだ、』
うっ、何も言えない…………
で、でも、肩に置かれた大きな手、背中に回されてるたくましい腕、密着している立派な身体……………意識しないはずがない。
私は赤くなっているだろう顔を俯かせ歩いていく。
私は入ったことのないフロアへ入り、立派そうな部屋が並ぶ所へ着いた。
『ここだよ、』
扉が開くと、少し広めの一人部屋が目の前に広がる。シングルより少し大きめのベッドにテーブル、柔らかそうなソファー、可愛い本箱。窓には薄い黄緑のカーテンがかかっている。
『わぁ…………』
『気に入ってくれたかい?』
『はい、とても!』
私なんかにいいんだろうか、こんな良い部屋………。
『そうか、よかった。ちょうど隣の部屋が空いていると聞いてね。許可をもらってきたのさ。』
ち、近くといっても隣だったんだ……………すごく緊張して物音も立てられなさそうだ…………
『風呂は……………そうだな、このフロアのを使うと良い。事情を知ってる者しかいないし、それに安心してほしい、俺達が帰ってくるのは夜遅いからそれまでに入ってくれれば鉢合わせもないはずだからな。』
『はい、わかりました。』
『あとは…………食事はここで取るといい。運んでもらうよう頼んでいる。』
『え、いいんですか………?』
さすがにそこまでさせるのは申し訳ない………
『ああ、私も部屋でとることが多いからついでだから、と言っていた。たまに時間が合えば一緒に食事をとろう。』
『はい、もちろん。』