第5章 苦痛
……………どのくらい寝ただろうか。
何かいい夢を久しぶりに見た気がする。
猫がでてきたっけ……………
確か額に肉球が…………
いつのまにかエルヴィンさんはいなくなっていた。
枕元にエルヴィンさんのだと思われる本が置いてあった。これでまた暇な時間がなくなるな、とまだ途中までしか読んでいない本を読み始める。
________数週間後。
私は充実な日々を過ごしていた。
朝起きて、パンを食べて、本を読んで、昼食たべて、たまにエルヴィンさんが来て、少し昼寝して、夕飯たべて、本を読んで寝る……………
肋骨のところはだいぶくっついてきたみたいだ。お医者さんによると明日には部屋に戻れるみたいだ。
正直あの部屋には戻りたくないんだけどなぁ…………
『アン』
そう考えているとエルヴィンさんが来た。
『あ、おはようございます!』
『明日部屋に戻れるみたいだね、おめでとう』
『ありがとうございます、エルヴィンさんのおかげです』
『俺は何もしてないよ』
いや、ほぼ毎日来てくれたことは私にとってかなり嬉しかったし、気持ちも楽になった。
『提案があるんだが、いいか?』
急に見つめてくるものだから心臓が跳ね上がり、私も見つめ返す。
『私の近くに部屋を変えてみないかい?』