第5章 苦痛
エルヴィン目線_____
俺がアンの頭を撫で始めるといつのまにか眠りについていた。
アンの寝顔はとても穏やかで年相応であった。本人は気づいていないだろうが昔からこの子は無意識に大人っぽい顔つきをしている。顔の造りというよりは表情が、と言った方が良いだろう。
『……………また君は俺に隠し事をするんだね、』
頬に指を滑らす。医師から告げるなと言われたが大事なことだからと、昨日のことを聞いた。やはりそういうことだったのだな、と一向に彼女を運ぼうとしない周りの兵士たちに合点がいった。
医師によると、このことによって治るのがまた遅くなるらしい。
…………俺の判断は正しかったのだろうか。逆に彼女を苦しめているのではないかと不安になってしまう。
自分らしくないな。
自分のそばに置いておくならば…………
『いっそ一緒になってしまおうか……………なんてね。』
俺はそっとアンの額に口付けた。