第5章 苦痛
『………………は?』
彼女の顔が悲痛な顔から憎悪を浮かべる顔に一瞬で変わった。
『何言ってるの??私も怪我をしているのに私ではなく貴方を抱えて副分隊長は行ってしまった。』
『えっ……?』
『第一、私がアンカーを外すというミスをすると思う?馬鹿じゃないの、副分隊長の気を引くためだってことがわからなかった????』
………いやそんなの教えてくれないとわかるわけないじゃん、と突っ込みたかったがやめておこうか。
要するに彼女はエルヴィンさんに助けてもらいたくて私とわざとぶつかったってこと…………?
『……………あやまりなさいよ、』
私はそう言った。
『はぁ?さっきあやまったで_____』
『私じゃなくてあなた自身とエルヴィン副分隊長によ!!!下手したら貴方死ぬところだったのよ!!エルヴィン副分隊長だって、もし貴方があんな事しなければ迷惑をかけなかったのに!』
しまった………つい大声を。
しかし、本当のことだ。今回は奇跡的に大丈夫であったが、下手したらブレードで身体を切って大出血していたかもしれない……………そんなリスクまで背負って副分隊長に助けてもらいたかったのか。思考に追いつけない。
『っ、うるさいわね!!!この………死に損ないが!!!』
彼女はそう言うと私の患部を叩きつけてきた。私は鈍痛に顔を歪ませると
『これだけじゃすませないから覚えていなさい、』
と吐き捨てるように部屋から出ていく。
最後に見た彼女の目が忘れられない……
あぁ………
『こわいなぁ……………』