第5章 苦痛
バタン、と医務室のドアが閉まる。
副分隊長は私に
『とりあえず今は医者が良いというまでここにいてもらうことになった。………不安だとは思うが、仕事の合間を見て俺も会いに来る。』
と言ってくれた。しばらくは入院(?)生活なのだろう。
暇つぶしのために難しそうな本を置いていってくれた。
これでも読んで時間を潰すしかないな…………
肋骨に負担がかからないよう本を手に取りペラペラ、とめくると古い書物の香りと香水の香りが混ざった香りがふわっと漂う。
_____これ、エルヴィンさんが読んでいた本なんだ、
と改めて思うとなぜかドキドキしてしまう。
本には挿絵が少しあり、頑張れば私にでも読めそうな内容であった。
さて、読み始めよう。
そう思った時。
ガラッと医務室のドアが開く。
今、ここにいるのは私だけ。ということは私のお客さんだろうか。
『……………アンちゃん、』
アンカーが外れて私と衝突してしまった子だった。
……………?
『ご、ごめんなさい…………その、ひどい怪我をさせてしまって……………私……………』
『あ、そんな、大丈夫だよ…?リハビリしたら治る、みたいだし、それにあの木にアンカー刺さりにくいもん。仕方ないよ』
『そう…………よかった…………』
彼女はほっと息をつく。彼女も見たところエルヴィンさんが言っていたとおり怪我もあまりしていないようだった。
『あなたも怪我がなくてよかった。』
『……………』