第4章 上司と部下
『あぁ、疲れた………』
今は休憩時間。
こんなにも真面目に筋肉トレーニングをするとこんなに疲れるのか。既に太ももがパンパンである。こりゃ太くもなるよなぁ……………
3年前の私は胸はそこそこあった(ねえさんたちには叶わないけど)が、いわゆるガリガリだった。あまり良い物も食べさせてもらってなかったし、ましてや運動もしなかったからね。
現在の私はと言うと、胸は大胸筋が発達して大きいものの固くなってしまい、腕、太ももに筋肉がつき太くなっていた。どう考えても女子の身体ではない…………おそらく、訓練の差であろう、周りの女子は足なんてぽきっと折れそうなほど細い。
たれてくる汗を拭い、水分をとろうと水場へ向かう。
あつい。ちょうどお昼だから太陽が頭の上から熱を放ってきている。
ぼーっと上をみていると。
『アン』
心臓が跳ね上がる。
後ろを振り返るとエルヴィン副分隊長が不思議そうな顔で私を見ていた。
慌てて私は後ろを向き敬礼をする。
『訓練終わったのかい?』
『はっ!午前中は筋力トレーニング、午後からは立体機動の訓練であります!』
『ふふ、すごい汗だ。お疲れ様』
副分隊長は頭を撫でようとしたのか手を伸ばしてくる。
『あっ…………』
私は後ろへ1歩引いてしまう。副分隊長も驚いた表情を浮かべる。
『………………すまない、水を飲もうとしていたところを邪魔した。行きなさい。』
副分隊長は踵を返し帰ってしまった。
汗でベトベトな髪の毛を触られたくない。触るならお風呂へ入ったあとのサラサラな髪の毛がよかった。
今、ここにはほかの新兵や先輩方がいらっしゃる。こんなところを見られたら副分隊長が誤解されてしまう。
私は二重の意味で避けたのだ。
副分隊長の一瞬の切ない表情が頭に残る中私は水を飲んだ。