• テキストサイズ

私にとっての自由の翼【進撃の巨人】

第19章 悲しみとともに





「……君も辛かったね」


ふと、顔を上げると分隊長は私を見つめていた。


一見表情は変わっていないように見えるが、



私にはわかる。心配してくれている表情だ。


「っ...…」


思わず分隊長の優しさに久しぶりに触れ涙があふれる。


トーマスが戦死したことは知っていたかどうか不明だが、分隊長ももちろん人間だ。悲しまないわけが無い。



「っ、ごめ、なさい……」



分隊長の前で泣いたって困らせるだけなのに。


そう思っても涙が止まらない。



「っ...……アン。」



その瞬間、分隊長の大きな身体につつまれる。



「っ!?」



久しぶりの感覚だった。



「……、こんなことしても君を困らせてしまうだけ、だね……」


眉を下げながらそう言うと身体を離してしまう。


「……あ、えっと……」


「じゃあね」


分隊長は振り返らずそのまま部屋から立ち去ってしまった。



「っ...……」


顔が赤くなるのを感じ、そのままその場に座り込んでしまう。



あんなことされたらまた……わたし……


でも、あの時の眉を下げた表情が忘れられない。



「どうして……。あんな表情……するの……」



/ 177ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp