第19章 悲しみとともに
「っ!?」
「……久しぶりだね」
「ぶ、分隊長……」
わたしは敬礼するとその敬礼をとくように手を前に出す。
「入っていいかな」
「は、はい……」
分隊長は私の前をとおりすぎ椅子に腰かける。普段の香水の香りが落ちており、代わりに汗の香りがした。
「本題だが……」
私を見つめ、話はじめようとする。
以前のことを思い出し、胸が苦しくなる。
「イザベルとファーランのことは……知っているね?」
「……はい」
「そうか、やはりね。……教育係だった君に伝えておくべきだと思ってね。」
「?」
「彼らはわたしを殺そうとしていた。そしてそれを壁外調査で決行しようとしていた。……リヴァイと別れ、その後巨人にやられたらしい。」
「っ、」
噂では聞いていたが、やっぱりそうだったんだ……
「リヴァイが引き返した時にはもう……。そしてリヴァイはその巨人を一人で切り刻んでいた。声をあげながら、ね。」
「……そう、でしたか」
そうだよね、3人は家族のようなもの。その2人が突然殺されてしまったら……例え彼でも正気を保てないよね。
「……今はリヴァイに近づかない方が良い。何をするかわからないからね。」
「え、でも……。」
「いいね?」
有無を言わさぬ圧力をかけられわたしはしぶしぶ頷く。