第19章 悲しみとともに
その隊士はおろおろしながら私の背中を撫でてくれた。
「……トーマスさん、いつも言ってたんですよ。貴方のこと。あいつは頑張りすぎだ、もっと俺を頼っていいのに、って。」
「っ、う、っ……」
ずるい、ずるいよ、
最期に、この手紙はずるいよ
こんなにわたしのこと想ってくれていたのに、わたし………
唯一の同期、そして、友達が
いなくなってしまったんだ。
「……………」
わたしは部屋のベッドにすわりただ壁を見ていた。
イザベルちゃんにファーランくん、そしてトーマス………
わたしと仲良くしてくれた人たちが一気にいなくなってしまった。
隊士くんから聞くに、トーマスは他の隊士を守るために庇ったらしい。そしてその時に………。
その時どんだけ怖かったんだろうと考えるとまた涙が出てくる。
今までも仲良くしていた人がいなくなることはあったけど、
トーマスとは長い付き合いだった。
「………この手紙、大切にしておこう。」
わたしはその手紙を、大切なものを入れる箱にしまう。
「………ありがとね、トーマス」
その時、部屋のドアにノック音が聞こえた。
そこには予想外な人物が立っていた。