第12章 Another Story
ある男の近くへその男は近づく。
既に冷たくなっている身体のそばに腰を下ろしじっと見つめる。
大量出血によるショックなのだろう。心臓にはナイフが突き刺さっている。
『……………いい加減起きやがれ、クソ……』
血まみれの手がその男の細い少し筋張った手によって握られる。綺麗になったはずの男の手がまた血にまみれる。
『…………お前のことは忘れねぇよ、この先も、ずっとだ』
グッと唇を噛みなにか悔しそうな表情を浮かべる。
そして何事も無かったかのようにその場を立ち去る。
______その男が地上に行くまであと数年………