第6章 マドレーヌ
翔兄は、僕の言葉を黙って聞くと
クスクスと笑いだした。
和「…しょ、翔兄…?」
翔「…和。その言葉は嬉しいけど…。
俺の準備がまだなの…。ごめんな?」
和「…っあ…」
僕は、恥ずかしくて俯いた。
…ぼ、僕…。何言っちゃてるんだろう!?
僕は、いつでも…なんて。
それじゃあ、まるで…まるで…。
ずっと待ってたみたいじゃん。
用意までして…。
…うわ…もう…。
凄く恥ずかしいよ…!
翔「…そんなに恥ずかしがるなよ」
和「…だ、だってえ…」
翔「はいはい。…俺が悪かったから…な?
機嫌直せ…」
和「…う、ん…」
僕が、頷くと翔兄は
僕を離して僕の額にキスをした。
翔「…もう、寝ろよ?…明日も学校だから」
和「…おやすみなさい…」
翔「ああ、おやすみ」
そのまま立ち去ろうとする翔兄を
僕は、思わず引き止めた。
和「…ま、待って…!」
翔「どうした…?」
和「…しゃがんで…?」
翔「…ん?…ああ…」
翔兄は、曖昧に頷きながら
身をかがめてくれた。
和「…っん…大好き…」
翔「…っ!…お前なあ…」
和「…へへっ…」
僕も、翔兄の額にキスをしたんだ。
…さっきのお返しだから…。