第6章 マドレーヌ
*二宮和也
…僕は、和也。
中学3年生です…。
僕には、高校2年生のお兄ちゃんが
いるんだ。
…血が繋がってる訳じゃないけど。
お兄ちゃんは、僕のお父さんの
再婚相手の連れ子だった。
とっても顔が綺麗で、男だとは
思えないくらい。
最初は、この人と兄弟なんて
信じられなくて、兄なんて認めてなかった。
だけど、お兄ちゃんは
僕の心の警戒をゆっくり、ゆっくり
解していったの。
…ほんの僅かな気遣い。
ちょっとしたトラブルの、解決…。
日常で、よくあるような事を
お兄ちゃんは、助けてくれたの。
…本当の弟じゃない、僕を。
なんの見返りも要求しないで…。
…僕のお兄ちゃんに対する思いは、
いつしか、絶対抱いてはいけない想いに
なっていた。
「…和、風呂入れよ…」
和「…あ、翔兄」
翔「ほら、お湯勿体ないだろ〜が」
僕のお兄ちゃん。
『翔兄』
翔兄は、お風呂上りで
上半身裸…。
兄弟って、結構辛いんだぞ…。
家族だから無防備な姿をバンバン
見せられる。
…はあ。
嫌になっちゃうよ…。
和「…うん、入ってくる」
僕は立ち上がって、僕の部屋の
扉の所にいる翔兄を通り過ぎようとした。
翔「…待て」
和「…ん?…なぁに…?」
翔「着替え、ちゃんと持ってけよ」
和「…あ、ありがと…」
そう言って、翔兄は
僕に、部屋着を渡してくれる。
…いつの間に用意してたんだよ…。
本当、優しすぎ…。