第12章 クッサン・ド・リヨン
★ 櫻井翔
…7月3日、月曜日。
俺は、報道番組の仕事を終えて
ひとりで、広い部屋の中リビングのラグの上に
胡座をかいてビールを煽っていた…。
翔「…どうしよう」
どれだけ酒を飲んで、頭を真っ白に
させようと思っても…そう事は上手くいかない。
俺は、あいつが好きなんだ…。
カッコ良くてさ、オーラがあって。
みんなを惹きつける…。
俺には持ってないものを、沢山持ってて
いつの間にか…メンバーから
『愛する人』に変わってた。
翔「こんな気持ち、抱いてても…
報われないって分かってるのに…っ」
好きだよ、潤…。
俺は、日々の想いが酒によって
溢れたのか、涙を零してた。
…はぁ、こんなんじゃ
この先どうやって接していいか…分かんないじゃん。
俺は、テーブルの上に
頬をあててマンションの窓の外に目を向ける。
夜景が綺麗に見える、この部屋。
…この明かりの下に、いるんだろうな。
誰かと一緒にいるのかな…。
翔「もう、寝よ…」
そう思って、重い腰を上げて
ソファに横になった。
…目を閉じると、自然と睡魔が
俺を眠りへと誘ってくれる。
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…むにょ、むにょむにょ。
翔「…んっ、んん…」
…さわさわ、ごそごそ。
むに、むにむに…。
翔「…ん、なんだよ…」
さっきから、ずっと顔の周りで
動き回る物体を感じていた。
ソレのせいで、目を覚ました俺は
ゆっくりと目を開けた。
翔「…な、なんなんだよっ!?」
動き回る物体の、正体を知って
俺は飛び起きた。