第11章 ガレット・トロぺジェンヌ
☻ 大野智
おいらには、可愛い恋人がいる。
いつも、家に帰ると走って駆け寄ってくる
おいらには勿体ないほどの…可愛い恋人が。
そして、今日も…。
智「…ただいまぁ〜」
『…あっ!おかえりなさいっ』
智「いきなり抱きつかないでよ…ニノ」
和「えへへ…だって大好きだもん」
玄関の扉を開ければ、ぎゅうって
抱きついてくる…。
う〜ん…。この触り心地…堪んないよ。
ぷにぷにで…
ふわふわで…
ふさふさしてる…。
…ん?
フサフサ…?
おいらは、ニノの頭を撫でていた。
明らかに…髪の毛の感触じゃないよね…?
智「…な、なにこれっ!?」
和「んぅ?…なぁに?」
おいらは、ニノの頭についてる…
あるはずのない耳に目を見開いた。
だって、だって…!
これって、ケモミミ…だよね?
フサフサの、三角形の…
これは、犬の耳…?
しかも柴犬っぽい…。
いや、ニノの事を何度かそう思った事は
あるけどっ!
実際に…生えてる。
智「…ねぇ、ニノ…気付いてないの?」
和「…なぁにが?」
智「…これ」
和「…ンッ」
おいらが、ニノのケモミミをちょんと触ると
ニノの身体がピクリと震えた。
…これ、本物だ。