第8章 ベレ・バスク
潤と寝てから、数日経ったある日。
俺は、仕事を終えて真っ直ぐ家に
帰って来ていた。
…今日は、バーによる気力も残ってない…。
忙しすぎた…。
あれから、潤とは連絡も取ってないし
会ってもいない。
…あの時言っていた言葉は、なんなんだ?
潤の事を疑いながら、俺は自分の家の
鍵を開けて中へ入った。
…あれ、電気が…点いてる…?
まさか、泥棒…!?
俺は恐る恐る、廊下を歩いて
リビングの前のドアを開けた。
中を覗いてみると…。
智「…お前…なんで…!?」
「…へへ。来ちゃった…」
俺のお気に入りのソファの上で
座っていたのは…翔だった。
…どうして、ここに…。
智「…なんで、いるんだよ…」
翔「会いに来たんだよ…?」
智「いやいや、どうやって入ったんだよ?」
…不法侵入、だぞ…これ。
まあ、知り合いだし通報なんてしたりしないけど。
翔「…潤にお願いしたの」
智「潤…?」
どうして潤が、俺の家の鍵を
開けられるんだ…?
翔「お兄さんが、潤と会った日
潤にお兄さんの家の鍵の写真撮ってきて貰うようにお願いしといたの」
智「…おいおい」
翔「それで、合鍵…作るの頼んじゃった」
…頼んじゃった、じゃねえよ…。
軽く怖いわ…。
はあ、そこまでしてくれるのは嬉しいけど
でもな…。
智「…お前怪しまれたりしなかったのか…?」
翔「そこは大丈夫。…親戚ですって
言っといたから」
智「…なるほど」
…そういう所は、ちゃんと考えてた…。
考えてなかったら可笑しいか…。
翔「…それよりさ…」
智「…ん?」
翔は、立ち上がると
俺に抱きついてきた。