• テキストサイズ

文スト夢倉庫

第10章 新旧双黒+織田作/楽しい文化祭




「ん…、ここ、は……」


教室…?
きっとここは文化祭で使用しない教室のひとつなんだと思う。
関係者以外立ち入り禁止、と看板が立てられているだけで、入ろうと思えば誰でも入れるし、特に警備がいる訳でもない。
生徒や先生も、特にこの辺りに用事もないので来ることはない。

つまりそれは、大声を上げても無駄ということにも繋がる訳で。
いつの間にか結束バンドで拘束されているこの手を解く手段もなく、助けも呼べない。

徐々に恐怖が頭の中を支配していく。


「起きたかい?」


知らない声色がして、ビクッと身体が硬直する。


「あ…貴方は誰…?」
「キミは知らなくて良い事だよ。どうせ…すぐに天国に逝っちゃうんだから」


キラリと光るナイフが、これから起きるであろう事柄を暗示していて背筋が凍る。


「いい表情だねお嬢ちゃん…それに、いい身体をしている…」
「やっ…やめてください…っ」


声が震える…、私も武装生徒会の一員なのに、何も出来ないなんて…
悔しくて、涙が出た。

男の手がするりと制服の中に入ってきて
怖くて目を瞑った瞬間


男が声を上げて吹き飛んだ



「聖子ちゃん、大丈夫?」
「あ…太宰さん…」


太宰さんに抱き起されると、男と対峙する敦くんの姿が見えた。


「なっ、なんだお前らは!!」
「よくも聖子さんを…許さない…!!」


怒りを露わにする敦くん。
いつも温厚で優しい敦くんのこんなに激しく怒れる姿、初めて見た…。


「怪我は無いかい?」
「はい、大丈夫です…」
「それは良かった。敦くんがキミのことを酷く心配して、取り乱していたからね。…はい、取れた」


太宰さんは素早く私の手を拘束していた結束バンドを外してくれた。
その僅かな時間で、あの男は瀕死の状態になっていた。
まるでとどめを刺すように手を振り上げた敦くんに、私は無我夢中で飛び付く。


「敦くんもうやめて!」
「…っ!!??」


敦くんはハッとして、振り上げた手を下ろしてくれた。
そして私の方を振り返って、ぎゅっとキツく抱き締めた。


「聖子さん怪我は!? 何か酷い事されませんでしたか!?」
「うん、大丈夫だよ、敦くん」
「良かった…本当に良かった…!大好きな聖子さんにもしもの事があったらって思ったら…もう生きた心地がしなくて」



/ 102ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp